top of page

阿波の遊行弍

言葉の奥底に眠る物語

言葉が音楽へと変わる瞬間、そこには名付けようのない感情が芽生えます。「阿波の遊行弍」では、歌詞の背後に隠された文脈や多層的な意味を、丁寧な思索とともに紐解いていきます。この緻密な解釈のプロセスこそが、楽曲に真の命を吹き込み、聴き手の心に深く永く響き続けるための指針となるのです。

10:手まり歌(巡礼数え歌)  山口ヨシカ(神山町) 

​

​

      一つかえ 柄杓に負いづる 杖に笠 巡礼姿で父母を 尋ねうかいな

​

  二つかえ 補陀落紀州は 御熊野の 那智山おやまは 音高く響こうかいな

​

  三つかえ 見る間にお弓は立ち上がり 小盆に白米(しらげ)のこころざし進上かいな

​

  四つかえ ようこそ巡礼廻らんせ さだめし連れ衆は 親御だち 同行かいな

​

  五つかえ いえいえ私は一人旅 ととさん かかさん 顔知らず 逢いたいわいな

​

  六つかえ 無理に差し出す 草鞋銭 少々ばかりの こころざし 進上かいな

​

  七つかえ 泣く泣く別れる我が娘 伸びあがりすりあがり 見送って往なそうかいな

​

  八つかえ 山越え坂越え海を越え 艱難してきた我が娘 往なそうかいな 

​

  九つえ  九つになる子の手を引いて 十郎兵衛やかたの表口 連れこもかいな

​

  十かえ  徳島城下の十郎兵衛は わが子と知らずに巡礼を 殺そうかいな

​

  十一え  いちいち仏壇 花たてて 線香の煙りで 巡礼を送ろうかいな

bottom of page