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阿波の遊行弍

言葉の奥底に眠る物語

言葉が音楽へと変わる瞬間、そこには名付けようのない感情が芽生えます。「阿波の遊行弍」では、歌詞の背後に隠された文脈や多層的な意味を、丁寧な思索とともに紐解いていきます。この緻密な解釈のプロセスこそが、楽曲に真の命を吹き込み、聴き手の心に深く永く響き続けるための指針となるのです。

14:牟岐のもみすり歌 歌:山西彦太郎  3分52秒

 山西彦太郎さんは、牟岐の歌の優れた伝承者である。覚えている歌の種類や歌詞の数は

 

膨大で、徳島県下でもトップクラスの歌い手である。歌だけでなく、歌に伴う農作業の

 

風習などこと細かく調査に応じ、檜氏とは長い親交があった。

「もみすり歌」とは、冬場、農家が石うすで籾を磨る際に歌われる。

引手を挟んで二人一組になっての夜なべ仕事であるが、若い娘さんのいる家には、

 

村の若い衆が手伝いに来る。夜遅くまでかかる重労働で、リズムを合わせるのに歌が必要だ

 

が、持ち歌が切れてくると、男性は様子を見ながら、少しエッチな文句を加えてみる。

 

娘さんが笑ってくれると、次の展開が期待できる。

 山西さんは、この時の録音ではその際の歌詞を存分に披露してくれた。いわゆる

 

「バレ歌」であるので文字起こしの掲載は控えるが、檜さんはこの種の歌を「野のエロス」

 

と言って嬉しそうに記録された。

 山西さんはすでに故人であるが、録音の最後に歌った歌詞は山西さんの人生をそのまま

 

象徴しているように思える。

 

    わたしゃ歌好き 念仏嫌い 死出の山道 歌で越す

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