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阿波の遊行弍

言葉の奥底に眠る物語

言葉が音楽へと変わる瞬間、そこには名付けようのない感情が芽生えます。「阿波の遊行弍」では、歌詞の背後に隠された文脈や多層的な意味を、丁寧な思索とともに紐解いていきます。この緻密な解釈のプロセスこそが、楽曲に真の命を吹き込み、聴き手の心に深く永く響き続けるための指針となるのです。

8:神山町の草刈り歌  歌:田中クメノ  1分25秒

山が焼けても 山鳥ヤ飛ばぬ 可愛わが子に 引かされて

  一夜一夜で 枕が替わる 替わる枕を 定めたい

  とんと徳島にしばやがでけて 太鼓たたけば 雨が降る

  太鼓たたいて 踊り子よせて 器量の良い子を 嫁にする

  器量で一番 しょてんで二番 髪のいいよで 二十五番

 

 「とんと徳島・・」の歌詞には解説が要る。「しばやがでけて」の「しばや」は、

 

徳島では人形芝居興行のこと。冬の農閑期になると巡業している人形座の小屋が建て

 

られることが「しばや」ができるという。芝居は夜ともなると照明が必要なので、

 

普通は朝から始まる。一番太鼓が叩かれ、その音が野面を響き渡ると、今日は芝居

 

があることの近隣の村々へのお知らせとなる。家族がワクワクしながら着飾って出発

 

の準備をしていると、雨が降ってきてオジャン。この歌詞は、「撫養(なると)の子守歌」

 

でよく歌われた。子守の仕事のために芝居に連れていってもらえない、雇われ子守の

 

「雨が降ればいい」との屈折した心情がこめられ、阿波の民謡の中でも屈指の歌詞である。

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